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農地所有適格法人(旧:農業生産法人)の理事と取締役の役割と責任を知り、就任すべきか判断しよう

投稿日:2015.04.21

役員とは、農事組合法人や農地所有適格法人(旧:農業生産法人)の組織の運営について、責任ある地位についている人です。

農事組合法人の役員は、理事及び監事のことを指します。
理事には必ず、最低1人は就任しなくてはいけず、監事は、任意となります。
ただ、ほとんどの農業組合法人で、監事を設置していることが多いです。

理事は、農事組合法人のすべての業務について全員が代表権を持ちます。
この理事の代表権の行使は、定款に違反してはいけず、組合員の総会の決議にも従う必要があります。

農協法では、農事組合法人が理事会を設置しなくてはいけないという規定はありません。
そもそも、農協法を守る義務もありませんが、32条で、農業協同組合の理事会について、下記のように書かれています。

(1)組合は、理事会を設置しなければいけない
(2)理事会は、すべての理事で運営される組織である
(3)理事会は、組合の業務執行を決めて、理事の業務を監督する

もし、農事組合法人で、理事会を設置するならば、これを参考にするのが、普通です。
農事組合法人を作る場合、複数人で、協同して農業を行うことが多いので、3人以上が理事になり、理事会を設置しているケースがほとんです。
私が関わっている農事組合法人では、理事が10人、20人と二桁の場合も、少なくありません。
ただ、何度も言いますが、理事は代表権があるので、契約書は当然ですが、誰かが口頭やメールでも承認したことは、農事生産法人、その理事全員に及ぶことになります。
結果、理事の責任は重くなるため、むやみに数を増やさないこと、定款や総会で、理事の権限を制限しておくことが必要です。
そして、理事会も1ヶ月に1度は、最低でも開き、農事生産法人の方向性、今後の事業計画、現在の財務状況を再確認してください。
このとき、監事も就任させていれば、その人が財務内容を報告することで、第三者的な立場でチェックすることができます。

一方、農地所有適格法人(旧:農業生産法人)の組織の実態は、農事組合法人とは、少し違います。
農地所有適格法人(旧:農業生産法人)は、最低1人以上の取締役が就任することが必要で、監査役の就任は任意となるところは、農事組合法人とほぼ同じです。
取締役会も設置することができるのは、理事会と同じですが、農地所有適格法人(旧:農業生産法人)の場合、それほど設置しているケースは多くありません。
というのも、農地所有適格法人(旧:農業生産法人)では、複数の取締役で、取締役会を開催して、話し合いを行うよりも、1人の代表取締役が意思決定を行ってしまうことが多いからだと思います。
だからこそ、株式会社の形態の農地所有適格法人(旧:農業生産法人)を設立したとも考えられます。

それでも、農地所有適格法人(旧:農業生産法人)の組織が大きくなれば、組織を運営していく上で、1人の意思決定ではなく、複数人による合議制の方が、よい方向性に進むことができます。
それでも、農事組合法人のように、取締役が10人、20人となることはないでしょう。
せいぜい、3人、5人ぐらいの取締役を就任させることが、通常です。
農地所有適格法人(旧:農業生産法人)の取締役は、代表権がないとしても、重い責任は発生するため、就任するメリットが少ないという理由もあります。

また、農事組合法人の理事も、農地所有適格法人(旧:農業生産法人)の取締役も、法人と委任契約を結ぶという関係になります。
そのため、農事組合法人の総会、農地所有適格法人(旧:農業生産法人)の株主総会で、いつでも、就任させることも、解任することも可能となります。
もし、これが社員であれば、雇用契約となるため、就職してもらう前に、農事組合法人、または農地所有適格法人(旧:農業生産法人)と契約を締結します。
そして、その社員を解雇するときには、相当の理由がなければ、雇用契約を破棄できないことになるのです。

農事生産法人の理事と農地所有適格法人(旧:農業生産法人)の取締役は、責任が重いのに、地位が不安定となります。
そんなの就任する人がいるのか、と考えるかもしれませんが、その代りに、毎日、出社しなくても、意思決定をするだけで、それなりの報酬を受け取ることができます。
社員の場合には、出社して来なければ、給料をもらうことなどできません。
また、農事組合法人や農地所有適格法人(旧:農業生産法人)の経営の意思決定にも参加でき、社員として働くよりも、仕事が面白いというメリットもあります。

それぞれのメリットとデメリットを考えながら、役員の数と顔ぶれを決めましょう。

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