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農業最前線ニュース

農事組合法人は、株式会社に簡単に変更することができるのか?

投稿日:2015.05.05

農事組合法人の規模が大きくなり、組織化したいと考えた時に、株式会社である農地所有適格法人(旧:農業生産法人)に移行した方がよいでしょう。

ただ、農事組合法人を一度、清算するための合意書を組合員からもらい、再度、農地所有適格法人(旧:農業生産法人)を設立するとなると、出資金についての話し合いも必要となり、かなり手続きは煩雑です。

では、農事組合法人を清算せずに、農地所有適格法人(旧:農業生産法人)に移行することができるのでしょうか?

実は、下記の条件を満たせば、そのまま、組織変更できます。

(1)農事組合法人が債務超過でないこと
(2)農事組合法人の組合員の3分の2以上の賛成(特別決議)があること

もし(1)で農事組合法人が債務超過である場合には、組織変更するときに、組合員が新たに出資する必要があります。

そもそも、会社法では、資本充実の原則というものがあり、資本金がマイナスでは、設立することができないからです。
このとき、債務超過かどうかは、農事組合法人の決算書をもとに、原則、資産と負債を時価評価する必要があります。

資産としては、倉庫やトラクターなどの車両があるかもしれませんが、農地を所有していることは考えられないため、時価評価してもそれほど、大きく変わらないかもしれません。
ただ、農作物の卸問屋に対する売掛金、組合員への貸付金があると、その中で回収不能のものがあれば、貸倒れとして、評価をゼロとしなければいけません。
農協や大手スーパーが取引先であったり、組合員に返済する気持ちがあれば、貸倒れにする必要はありません。
負債としては、給料の未払金や税金ぐらいで、農事組合法人として、隠れている負債などは考えられず、決算書のままで問題はないはずです。

実際に、農事組合法人を農地所有適格法人(旧:農業生産法人)に組織変更するときには、組合総会を開催する2週間前までに、会議の目的、組織変更計画の要領、組織変更後の会社の定款、組織変更後の会社の取締役及び監査役の選任に関する要領を示して、全組合員に通知する必要があります。

ここで、組織変更計画では、下記の事項を定めます。

(1)組織変更後の農地所有適格法人(旧:農業生産法人)の目的、商号、本店所在地、発行株式総数
(2)組織変更後の農地所有適格法人(旧:農業生産法人)の定款で定める事項
(3)監査役や会計監査人の氏名又は名称、その他の事項

これで、組合員からの承認を得れば、組織変更計画で定めた組織変更の効力発生日に、農地所有適格法人(旧:農業生産法人)となります。

もし、組織変更に反対の意思表示をした組合員がいれば、その人からは持分の払い戻しを請求されてしまいます。
その期限は、こちらで決定できますが、組合員総会から20日以後の日で定めます。
ただ現実問題として、払い戻しが起きないように、事前に根回しを行うべきです。
1人でも反対する人が出てしまうと、協力体制が得られませんし、払い戻すお金も用意しなくてはいけなくなります。

そして、農地所有適格法人(旧:農業生産法人)の効力が発生した日から2週間以内に農事組合法人の解散の登記、農地所有適格法人(旧:農業生産法人)の設立の登記を行います。
最後に、組織変更の届出を市町村等(行政)に対して行います。

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