「農地所有適格法人を作る理由.jp」では、農地所有適格法人(旧:農業生産法人)の新規参入・設立のメリット、資金調達、補助金・助成金の申請、法人化した後の相続・譲渡、節税など、農業ビジネスの仕組みをわかりやすく解説しています。

農地所有適格法人(旧:農業生産法人)設立コンサルティング | 日本中央税理士法人 Tel. 03-3539-3047 担当:青木

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基本の仕組みを理解する

農業の役割ごとに、法人を設立しよう

あなたが農業で成功したいならば、5つのことを目標にしましょう。

① 農作物(商品)を売りやすい仕組みを作る
② 補助金や助成金を申請しやすくする
③ 資金調達をしやすい体制を整える
④ 法人税や消費税を、できるかぎり節税する
⑤ 農業を継ぐ子供に、スムーズに引き渡す

実は、これを実現する最もよい体制は決まっています。

農業で成功するための体制

ここでのポイントは、2つです。

1つ目のポイント

農作物の販売会社と農地所有適格法人(旧:農業生産法人)を分けて設立することが、大切です。

基本的に、農業に関連する補助金や助成金は、生産設備や農作物を作る運転資金として申請することが、ほとんどです。
農地所有適格法人(旧:農業生産法人)に販売部門があると、補助金や助成金がそれに使われないように、申請するときに説明が必要となってしまいます。

また、銀行から資金調達をするときにも、販売会社は、「農作物の仕入れ資金」として、農地所有適格法人(旧:農業生産法人)は、「生産設備の購入資金」として、申し込むことになります。
このときも、2つに分かれていた方が、銀行からの融資も認められやすくなります。

スーパーの青果売り場さらに、農地所有適格法人(旧:農業生産法人)には、地元の農業者が出資するだけではなく、最近では大企業からの資本参加も増えてきました。
その場合、大企業やその関連会社と、農作物を卸しているスーパーが、競合会社になっていることもあります。
あなたは、
「別に、地元で競争しているわけではないはずだ」
と思うかもしれません。
それでも、大企業にとっては、競合会社のスーパーに、自分たちが出資している農地所有適格法人(旧:農業生産法人)が農作物を卸すことに、抵抗感が出てしまいます。
同じように、スーパーも、競合会社である農地所有適格法人(旧:農業生産法人)から農作物を買うことを嫌がるかもしれません。
このとき、販売会社が中間にあれば、農地所有適格法人(旧:農業生産法人)とスーパーが直接、取引を行うことはなくなります。

2つ目のポイント

農地利用改善団体のままでもよいですが、それを法人化して、一般社団法人を設立して、農地の地権者と賃貸借契約を行うべきです。
この一般社団法人は、地域資源管理法人とも呼ばれています。
一般社団法人を設立して、バラバラだった地権者をまとめれば、広い農地を使えるようになります。
そもそも、この地権者に会うことすら難しいのに、まとめるなんて不可能だとは思った人は、市区町村が運営している「農地バンク」という制度を利用しましょう。
ここには、農業を縮小したい人や耕作放棄地の情報が集まっていて、その仲介をしてくれます。

現在の税制では、この一般社団法人に法人税がかかってしまいますが、地権者と農地所有適格法人(旧:農業生産法人)の間に立つことで、消費税は節税できます。

というのも、一般社団法人がなければ、農地所有適格法人(旧:農業生産法人)が地権者に支払う賃料は、農地を借りているため、消費税がかかりません。
つまり、農作物を出荷すれば、消費税をもらうのですが、賃料には消費税がかからず、全額を納めることになります。
ところが、一般社団法人が間に立てば、農地所有適格法人(旧:農業生産法人)が支払う賃料に消費税が含まれることになり、売上の消費税から差し引くことができるのです。
ここで、あなたは、
「それでは、この一般社団法人が、消費税を納めることになるのでは?」
と思うかもしれません。

ところが、一般社団法人に限らず、会社の売上が1000万円を超えなければ、消費税を納める必要はありません。
一般社団法人が受け取る賃料が1000万円を超えなければ、地権者に支払う賃料に消費税が含まれていなかったとしても、そもそも、消費税を納めないため、関係ないのです。
実際に、この体制で運営している一般社団法人で、賃料という売上が年間1000万円を超えることは、ほとんどありません。

さらに、地権者にも、メリットがあります。
それは、現在、耕作放棄地として使っていないと、雑種地の扱いとなり、固定資産税が高くなっていることがあります。
それを一般社団法人に貸すことで、「農地」と認めてもらえば、固定資産税をかなり下げることができます。しかも、地権者には、賃料も入ってきます。
このとき、一般社団法人に無償で貸し付けるという方法もあります。
「タダで貸したら意味がない」というかもしれませんが、農地を保全する活動を行うことで、給料をもらえば、給与所得控除などによって、所得税が節税できます。
地権者がこれらのメリットを理解してくれれば、農地を貸してくれる可能性は高くなるはずです。

もしあなたが、これから農地所有適格法人(旧:農業生産法人)を作るならば、販売会社や一般社団法人を作ると同時に、スーパーや地権者との契約を見直すことをお勧めします。

あなたが、新しく提示した条件を、相手がすべて承諾することはないかもしれませんが、少しでも改善できれば、農地所有適格法人(旧:農業生産法人)の利益を増やすことができます。
また、自分たちでは交渉が難しいと感じたり、大手のスーパーの場合には、窓口の担当者にも上司がいて、口頭だけで承諾をもらうことができないこともあります。

そのときには、当社にお問合わせ頂ければ、そのミーティングに同席したり、要望する文章を作成するサービスも行っております。
あなたが、「現状の農業の売上と利益を、もっと効率的に増やせる体制に変えたい!」と考えているならば、今すぐ、当社まで、お問い合わせください。

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事例から学ぼう

田中さんは、30年も前から農作物を作り、地元のスーパーに出荷していました。
当時から、農作物を出荷しても、入金されるのは翌々月末でした。
今までは、それでもよかったのですが、1年前に、新しいトラックをリースで買ったことで、月末に自動で引き落とされると銀行の残高がかなり減ってしまい、少し心配になっていました。

そのとき、ちょうど、田中さんの長男が、その友人と一緒に農地所有適格法人(旧:農業生産法人)を設立したので、農地を貸して欲しいと言ってきたのです。
田中さんは長男が農業を継いでくれることがうれしく、すぐに承諾しました。
すると、長男は、農地所有適格法人(旧:農業生産法人)として銀行から借入を行い、トラックを田中さんから買い取りました。
つまり、名義を農地所有適格法人(旧:農業生産法人)に変更すると同時に、リースを止めたのです。
リース期間よりも、返済期間が長いため、毎月の支払いは抑えられました。
そして、地元のスーパーとも交渉して、販売した農作物に対する入金時期を、翌月末に変更してもらったのです。
地元のスーパーは、お客さんがクレジットカードで買ったとしても、2週間後にクレジット会社から入金があるため、資金繰りに困っているわけではなく、すぐに承諾したのです。
父親は、それを聞いて、「そんな簡単に了承するならば、自分のときにも交渉してみればよかった」と思いました。
別に、そこで断われても、今までの関係が崩れることはありません。

ただ、息子が作った農地所有適格法人(旧:農業生産法人)は、父親の農地だけではなく、農地バンクに依頼して他の農地もまとめて借り上げたことで、かなりの農作物の収穫量を確保できるようになっていました。
そのため、スーパー側にとっても、地元では規模が大きくなった農地所有適格法人(旧:農業生産法人)と、これからも有効な関係を保ちたいという思惑があったようです。
農地所有適格法人(旧:農業生産法人)を作ったことで、スーパーも個人の農業者との交渉ではなく、会社同士の交渉と考えるようになるのです。