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農業最前線ニュース

養老保険の保険料を、農地所有適格法人の経費として計上できる方法があります。

投稿日:2021.01.14

生命保険は大きく分けて、3種類に分けられます。

① 定期保険
 基本的には、「掛捨て」で、保障が一定の期間内のみ有効です。ただし保険料は割安です。

② 養老保険
 「保障」と「貯蓄」の両方の性質を持ち、保険期間は一定となります。保険期間中に亡くなると死亡保険金が、満期時には死亡保険金と同額の満期保険金が、途中で解約すれば解約返戻金が支払われます。

③ 終身保険
 保障が一生涯続き、何歳で亡くなったとしても死亡保険金が支払われます。将来、保障が必要ないと判断して解約すると、解約返戻金が支払われます。

個人で生命保険に加入しても、最大で12万円を生命保険料控除として申告できるだけです。これは12万円の所得税が減るわけではなく、例えば所得税率が20%とすれば、年間2万4000円しか節税できないことになります。

一方、農業法人で「掛捨て」の生命保険料を支払うと、原則、全額が経費として計上できます。そのため、個人ではなく農業法人で生命保険には加入した方が得です。
では農業法人が「掛捨て」ではない養老保険や終身保険の保険料を支払ったら、どう処理されるのでしょうか?
基本的には貯蓄という性質が強いため、農業法人の経費として計上することはできません。
生命保険会社が受け取った保険料を長期間運用して、何十年後かに農業法人が支払った保険料を上回る保険金で返してくれるのですから、当然かもしれません。
ところが、養老保険については契約の方法を次のように工夫すると、保険料の2分の1を農業法人の経費に計上できます。

養老保険の契約者 農業法人
被保険者     役員・従業員の全員
満期保険金の受取人 農業法人
死亡保険金の受取人 被保険者の遺族

被保険者の遺族が死亡保険金を受け取れるため、そこは役員と従業員の福利厚生費と見てくれるのです。
当然、農業法人で被保険者である役員と従業員が働いていなければならず、定年が60歳と決めていれば、養老保険の満期も60歳とします。
とすれば、60歳までに亡くなる可能性はほとんどないはずであり、養老保険は満期保険金を農業法人が受け取ることが前提となりますが、問題ないのです。
ただ1つだけ、被保険者が「役員・従業員の全員」となっている部分は注意が必要です。
もし特定の役員だけを被保険者とした場合、もしくは農業法人の役員と従業員の80%が親族の場合には、2分の1が福利厚生費ではなく給与とみなされてしまい、所得税がかかってしまいます。
そのため、農業法人で働く「役員・従業員の全員」を被保険者として養老保険に加入しなければいけません。ただ従業員の入れ替わりが激しいという農業法人もあると思います。
退職した従業員が被保険者となっている養老保険は解約することになるのですが、一定期間加入していないと、支払った保険料以上の解約返戻金は戻ってきません。
その場合には、「役員と勤続年数が5年以上の従業員のみを加入させる」、「40歳以上の役員と従業員のみを加入させる」など、一定の基準を設けて解約をできるだけ防ぎましょう。
基準が合理的であれば、保険料の2分の1は給与とならずに福利厚生費として経費に計上することができます。

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