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1回だけですが、農地所有適格法人が支払う家賃や保険料などを1年間で2年分を経費として計上できる制度があります。

投稿日:2020.12.15

農業法人は毎月電力会社に電気料金を支払いますが、それは過去に使った電気に関しての精算です。この場合には後払いになりますが、実際に使った時の経費となります。
一方、農業法人が常に前払いする経費もあります。
代表的なものが、倉庫の家賃や地代、または倉庫の火災保険やトラックの自動車保険です。
この場合には支払った段階では経費とはならず、時の経過とともに経費に計上されます。

例えば、3月末決算の農業法人が1月に1年分の自動車保険を支払ったとします。
すると今期の3月末の決算では、1月から3月までの3ヶ月分しか経費にはなりません。
残りの9か月分は翌期の経費となります。
そのため、農業法人の決算書では、9か月分が前払費用として資産に計上されるのです。

ところが、下記の一定の要件を満たすと今期に1年分全額を経費に計上できるのです。
これを短期前払費用と呼びます。

① 金額に関して重要性がないこと(過大ではないこと)
② 等質等量のサービスがその契約期間中継続的に提供されること
③ 契約に従って支払う、役務の提供の対価であること
④ 翌期以降において時の経過に応じて費用化されるものであること
⑤ 現実にその対価として支払ったものであること。

この中で問題となりやすいのは、②と③です。
②で等質等量とは、毎月同じサービスが提供されなくてはいけないことを指しています。
先ほどの電気料金は毎月、利用量が違うため、1年分を前払いで支払っても経費にはならず、実際に使ったときに精算して経費となります。
一方、保険料、雑誌などの定期購読料、倉庫の家賃は毎月同じサービスが提供されるため、短期前払費用の要件を満たせます。

次に、③ですが口頭ではダメで、契約を締結する必要があります。保険料に関しては常に保険会社との1年更新の契約がありますが、家賃などは通常1か月分の前払いのため、契約を作成し直す必要があります。
大家さんとしては1年分を前払いで支払ってもらえるならば、家賃の未回収の不安から解消されるため、快く承諾してくれるはずです。
そしてこの契約は毎年継続して守る必要もあります。

例えば3月末決算の会社が、3月に1年分の倉庫の家賃を前払いで支払うとその年度は2年分が経費となり、翌年以降は1年分が経費として計上されていきます。
ところがある年度のときに、農業法人が赤字になるという理由で短期前払費用を止めたとします。その年度の家賃はすでに前期に経費に計上されていますので、その年度は家賃が一切計上されずに赤字を補てんできます。
ただこれを繰り返すと税務署から利益調整とみられて、過去の短期前払費用自体を否認されることになりますので、注意してください。

なお1年分の家賃を前払いで支払ったとしても、年の途中で賃貸を止める場合には経過していない時期の家賃は戻ってきます。
そのときは戻ってきた金額が、その期の利益として計上されます。

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