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農業最前線ニュース

非課税財産には相続税がかからないため、その枠は限界まで使うべきです。

投稿日:2020.10.13

1.相続税がかからない財産とは
そもそも相続税がかからない非課税財産があります。代表的なものは、社会通念上、換金価値がないと考えられている、お墓や仏壇です。金額の上限もないため、父親が生前に買っておけば節税対策になります。
一方、相続税の制度として非課税にしてくれている財産があります。
まず生命保険金は相続財産ではありません。生命保険の証券に受取人が指定されているため、遺産分割の対象にならないからです。ただ相続税はかかるため、みなし相続財産と呼ばれています。そのうち、「500万円×相続人の数」が非課税とされています。
例えば、妻と子供2人で相続人が3人とすれば、1500万円までは非課税となり、相続税がかからないのです。まだ生命保険に加入していない、もしくは過去の生命保険はすでに満期が到来して解約となっている人もいるかもしれません。その場合でも、一時払い終身保険に今から加入すればよいのです。ほとんど定期預金と同じで生命保険料の全額を一度に支払えて、被保険者の健康の告知も必要ありません。
次に死亡退職金も相続財産ではありませんが、みなし相続財産として相続税がかかります。そもそも父親が個人で農業を運営している場合には、亡くなっても自分に退職金は支払えません。途中で子供が農業を継ぎ、父親が従業員として働いている場合もあります。このとき子供と父親が同居していると、やはり父親には死亡退職金を支払えません。別居していれば死亡退職金を支払うことができますが、他の従業員と同じ基準という条件がつきます。

一方、父親が農業法人の役員に就任していれば、退職金規定を作って、死亡退職金を合法的に支払うことができます。役員ですので従業員と同じ基準で支払う必要もなく、この死亡退職金のうち「500万円×相続人の数」の金額が非課税となります。
そのため、妻と子供2人で相続人が3人とすれば、1500万円の死亡退職金までは、農業法人の経費として認められ、所得税も相続税もかからないのです。
さらに父親が亡くなったときに、農業法人から弔慰金というお金を死亡退職金に上乗せして支払えます。この弔慰金は農業法人の経費として認められて、かつその全額に対して所得税も相続税もかかりません。
ただし目安の金額が下記のように決まっています。

(1) 父親の死亡が業務上の死亡であるとき
 父親の死亡当時の給与の3年分に相当する金額

(2) 父親の死亡が業務上の死亡でないとき
 父親の死亡当時の給与の半年分に相当する金額

ここで、「業務上の死亡」とは、直接農業法人の業務に起因する死亡または業務と相当因果関係があると認められる死亡を指しています。
例えば、下記のようなケースです。
① 農作業を行っているときに発生した事故により亡くなるケース
② 農地への通勤途中での事故により亡くなるケース
③ 出張中において起きた事故により亡くなるケース
④ 農作業によって職業病などを誘発して、亡くなるケース
⑤ 農作業を中断していたときでも、その作業に付随した事故で亡くなるケース

父親に相続税の話をすると「俺が死んだときの話なんて不吉だから嫌だ」という反応を示すこともあります。ただ生前に生命保険に加入して、農業法人で死亡退職金と弔慰金の規定を作っておく、たったこれだけでかなり相続税を節税することができるのです。将来の相続人の生活費のためにも、絶対にやっておくべき対策でしょう。

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