「農地所有適格法人を作る理由.jp」では、農地所有適格法人(旧:農業生産法人)の新規参入・設立のメリット、資金調達、補助金・助成金の申請、法人化した後の相続・譲渡、節税など、農業ビジネスの仕組みをわかりやすく解説しています。

農地所有適格法人(旧:農業生産法人)設立コンサルティング | 日本中央税理士法人 Tel. 03-3539-3047 担当:青木

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農地を所有する農地所有適格法人だけではなく、農作物の商社を設立すると利益率も資金繰りも改善します。

投稿日:2019.03.15

農地所有適格法人を設立するだけではなく、2つ目の会社を設立するとメリットが広がるケースもあります。
もちろん、農地を所有する農地所有適格法人を2つ設立するわけではなく、農作物を仕入れてスーパーなどに販売する商社を作るのです。
そして自分が生産する農作物だけではなく、周辺の農業者からも農作物を仕入れて販売します。

これによるメリットは3つあります。

① スーパーと交渉ができる
自分が生産する農作物だけですと数量も少なく、スーパーと販売価格の交渉などできません。
ところが、周辺の農作物も仕入れることで取扱う量が増えてくれば、交渉力が生まれます。
また周辺地域の農業者との交流のきっかけにもなります。


② 銀行からの融資が引き出せる
農地所有適格法人は農作機械やトラックなどを購入するために、銀行からお金を借ります。
ただし、農業という事業に対する融資とみられます。
ここで農作物の商社を設立すると、周辺地域の農作物を仕入れるという商社の事業を新たに始めたことになります。
そのため、別枠で銀行が融資してくれます。
また周辺地域の農業者に対して代金の支払いを早めてあげることができれば、この事業に参加している全員の資金繰りが改善します。


③ 広範囲の農作物を仕入れることができる
農地所有適格法人が周辺の農業者から農作物を仕入れて販売することもできます。
それでも、農作物の商社を設立すれば、周辺地域だけではなく、他県や全国から農作物を仕入れることも可能になります。
実際に1種類の農作物に絞って全国から通年で大量に仕入れることで、高利益率でスーパーに卸している会社があります。


「メリットばかりではなく、会社が2つあると2重にランニングコストがかかるのでは?」と疑問に持つ人もいるでしょう。
農作物の商社が事務所を借りれば賃料が発生し、会計事務所への支払いも増え、会社ごとにかかる均等割(地方税)が1年間で最低7万円はかかります。
この合計額がランニングコストです。


ところが、これは心配いりません。
というのも資本金が1億円以下の会社にかかる法人税の実効税率は約34%となっています。
実は、この税率は一律ではなく、利益が800万円までは実行税率が約23%と10%も低くなっているのです。
例えば、農地所有適格法人の利益が2000万円だったとすれば、800万円までは180万円の法人税、残りの1200万円の利益に対して400万円の法人税となり合計580万円と計算されます。
ここで商社を設立して農作物を仕入れるときの原価を、スーパーへの販売価格の80%などと設定して利益を800万円にします。
とすれば、法人税は180万円と計算できます。
これによって農地所有適格法人の利益は1200万円に下がりますので、法人税は310万円と計算できます。
結局、2つの会社の法人税を合算すると490万円となります。
農地所有適格法人1社のときと比べると90万円も下がっています。
これによって、先ほどの1年間で追加となるランニングコストは賄えてしまうはずです。
そのため、2つ目の会社を設立することで、コストが増えることはないと考えられるのです。

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