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農業最前線ニュース

個人事業主の農家よりも、農地所有適格法人の方が交際費の範囲は広がります。

投稿日:2019.02.08

農業を個人事業主として運営していても、農地所有適格法人を設立して運営していても、取引先や農業を手伝ってもらう人と会食などに行くはずです。
このとき、個人事業主の場合には、交際費に関して1年間で経費として計上できる金額の上限がありません。
極端な話をすれば、1年間で1,000万円の飲食費を使ったとしても全額を経費として計上できます。
一方、農地所有適格法人の場合には、資本金の金額が1億円以下の場合には、1年間で800万円までと上限が決まっているのです。
そして、資本金の金額が1億円超となれば、1円から2分の1しか経費としては認められなくなります。
ただし、ほとんどの農地所有適格法人の資本金は1億円以下となるはずです。

また1人当たり5,000円以下の飲食費であれば会議費となるため、交際費に含まれません。
このとき、農地所有適格法人が税抜き経理を行っているのであれば、税抜きで1人5,000円となります。
ときどき、「二次会に行ったらどうなるのか?」と聞かれることもありますが、1店舗ごと5,000円の判定を行います。
そして、あくまで飲食費だけが、会議費と認められます。
農業の取引先とゴルフに行った場合のプレー代などは、交際費となりますが、1人5,000円以下でも会議費とはみなされないということです。
会議費であれば、1年間の上限金額はありません。
そのため、実際には1年間で800万円を超える飲食費を使っても、経費として認められることになります。
基本的に農地所有適格法人が、1年間で800万円を超える交際費を使うことはあまり想定されないため、上限金額があるからと言って、個人事業主に比べて不利になることはないはずです。
それよりも、交際費の内容が問題となります。

実は、個人事業主の所得税には必要経費という考え方があります。
必要経費とは、「収入を得るために直接必要な売上原価や販売費及び管理費のこと」と定義されています。
つまり、収入を得るために「直接」必要な費用と判断されない限り、経費としては計上できないのです。

例えば、実際に農業を行っている友人と居酒屋に行き、これからの農業の経営について話し合ったとします。
ところが、それが本当に事業に「直接」必要なものだったのかということが疑われるのです。
税務調査の場面で、わざわざ食事をしながら話し合う内容だったのか、その結果、農業の収入が実際にどれだけ上がったのかを、担当官から問われるのです。
実際に必要経費に関する東京地裁の判決でも、不動産賃貸業を行っていた個人事業主が経費として計上された車両の維持費用、インターネット利用料、電話代などが事業と「直接的」な関連がないとして経費には認められないとされました。現実に友人と居酒屋に行くことが、農業と直接な関連性が濃いと断言できる証拠を集めることは難しいのではないでしょうか。

一方、法人税には、収入を得るために「直接」必要な費用でなければいけないという規定がありません。
というのも、農地所有適格法人は営利を目的として設立されているため、利益を稼がない行為はそもそも行わないということが大前提だからです。
このことから法人税法では「支出の目的、相手、方法」が分かれば、交際費と認めると定義されているのです。
つまり、農地所有適格法人であれば、支出の相手先が農業に関連する人であれば、収入との直接的な関連がなくても交際費として計上できることを意味します。
もちろん、農業にまったく関係がない同窓会の飲食費、地元の野球部での飲食費などは経費にはなりませんが、個人事業主に比べると、かなり認められる範囲が広くなるのです。
それでも、あとから税務調査で指摘されないように飲食費の領収書には、誰と行ったのか、何人で行ったのかを必ず書き留めておくべきです。
あとからまとめて書こうとすると記憶も曖昧になるので、飲食費を使った日の週末までには書いておくという習慣を付けるとよいでしょう。

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