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農業最前線ニュース

高額ではない日当や支度金であれば、所得税も社会保険料もかかりません。

投稿日:2018.10.30

農業法人の役員や従業員が他県の農場の視察などで出張することがよくあります。
その場合には、旅費規程で日当を設定して出張のたびに支給すれば、所得税もかからず非課税でお金を受け取れることができます。当然ですが、農業法人は旅費交通費という経費としても計上することができます。
日当とは、出張などの旅行に必要な宿泊費や雑費等(食事や飲み物など)への支出に充てるものとして支給されるお金のことです。

例えば、農業法人の役員が出張する場合に、1日1万円の日当と2万円の宿泊料を渡すとします。2白3日であれば合計7万円となり、そこから宿泊費や雑費を使うため、残ったお金が非課税となります。それで例えば7万円のうち5万円を実費で使ったとすれば、2万円が残ります。
1ヶ月1回は程度の出張があるならば、年間で2万円×12回=24万円が所得税だけではなく、社会保険料もかからずに手元に入ることになります。このとき役員と従業員で日当の金額に差を付けることは構いません。
また宿泊する出張だけではなく、日帰りの出張でも1日分の日当を支給することができます。さらに翌日の待ち合わせ時間が早いため前泊することもあります。または夜遅くまで打合せするため後泊することもあります。この前泊や後泊しなければいけない理由が合理的であれば、2日分の日当を支給することができます。

ただし、日当を支給する場合に注意すべことも2つあります。

1つ目の注意点は、日当は遠方への出張の場合にのみ適用があるということです。
そのため、日帰り出張であれば最低でも片道50㎞以上の地域、宿泊ありの出張であれば最低でも片道150㎞以上の地域に限定すべきです。
ときどき、「自宅から農地までがかなり遠いため、毎日の出勤で日当を支払えるか」と聞かれることがありますが、出勤は出張ではないため支払うことはできません。

2つ目の注意点は、日当が高すぎると認められないということです。
そして、同一の地位にある従業員には、同じ金額を支給しなければいけません。
では具体的に、妥当な日当の金額はどのように決定したらよいのでしょうか?

実は、「国家公務員等の旅費に関する法律」で公務員にも日当の支給が認められていて、通常はこの金額程度であれば妥当とみなされます。総理大臣で日当が食事代も含めて7,600円、宿泊料が19,100円となっています。

国内だけではなく、海外に出張する場合もあるかもしれません。最近ではオランダなどに出向いて、種を仕入れる農家もいるようです。
この場合には、日当に加えて支度金も支給することができます。
海外に出張するとなると、パスポートの取得費用や国際免許証の取得費用、海外旅行保険への加入費用が別途かかかります。これに対して前渡しするお金が支度金なのです。
これも10万円程度で高額でなければ、非課税で渡すことができます。
また海外出張の場合の日当は、国内出張の日当よりも高額に設定しても問題ありません。これも「国家公務員等の旅費に関する法律」に記載があるため、それを参考にしてください。

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