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農業最前線ニュース

農地を交換すれば、その売却益を100%将来に繰り延べることができます。

投稿日:2017.10.26

農地所有適格法人が所有する農地がすべて1ヶ所に固まっていればよいのですが、飛び地になって生産効率が悪いケースも多く見受けられます。
その場合には、農地を交換することで集約できれば、農地所有適格法人の利益率はアップします。
ただ農地所有適格法人が農地を売却すると、下記で計算した売却益が利益として計上されます。

農地の売買価格 - 農地の取得価額 - 売却手数料 = 売却益

農地所有適格法人がもともと高値で購入した農地であれば売却損が発生しますので、税金の心配はありません。
一方で例えば、市街化区域外のときに購入した農地が、市街化区域に指定されたことで評価が上がっていれば、多額の売却益が発生することもあり得ます。
このとき、農地所有適格法人が一定の要件を満たした上で農地を交換できれば売却益を全額、将来に繰り延べることができます。
一定の要件とは下記となります。

① 土地と土地の交換、または建物と建物の交換であること
(例えば、農地と倉庫の建物の交換はできない)
② 交換する土地は、農地所有適格法人が1年以上所有していること
③ 交換で取得する土地は、交換の相手が1年以上所有していること
④ 交換で取得する土地は、売却する土地の用途と同じ用途で使うこと
⑤ 交換で売却する土地の時価と取得する土地の時価との差額が、その高い方の時価の20%以内であること

④の用途の種類は、田畑、山林、牧場又は原野となります。 つまり、農地所有適格法人が所有していた田畑を交換するならば、取得した農地も田畑で使うことが必要となります。
倉庫の敷地や農業用自動車の駐車場などで使ってはいけません。牧場として使っても要件を満たさないことになります。

⑤については、市街化区域の農地と市街化区域外の農地ではかなり1坪あたり金額が違います。 当然ですが、ぴったりの時価の農地を探すことが難しい場合には、お互いに精算金を支払うことで調整します。
その金額が時価の高い方の20%を超えると要件を満たさなくなるのです。
「そんなに上手く農地を所有している農地所有適格法人なんて見つけられるのか?」と考えるかもしれませんが、交換する相手は農地所有適格法人でなくても、個人事業主の農業者でも構いません。

また「農地を交換するときの時価はどのように計算すればよいのか?」ということも疑問になります。 農地所有適格法人を経営する親族個人と農地を交換することはまず考えられません。そもそも親族が所有している農地であれば借りてもよいですし、買取ることもできるからです。
そのため、第三者間で交換すると想定すると、時価はお互いに合意した価格となります。
精算金を支払う場合でもお互いに合意した時価の20%以内に収まればよいのです。そのため、農地の交換は予想以上に多く取引されているのです。

なお単純に市街化区域内の農地を売却して、そのお金で新しく市街化区域外の農地に買換えた場合には、売却益の80%を繰り延べるという特例がありました。 この特例については、原則、農地所有適格法人が平成29年3月31日までに農地を売却した場合しか使えません。
例外もありますが、それも農地所有適格法人が平成29年3月31日までに農業経営基盤強化促進法第15条第1項に基づき、農業委員会に農地を売りたい又は買いたい旨の申出をした場合だけ、平成31年3月31日までの売却にかぎり特例が適用できることになっています。

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