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農業最前線ニュース

農地中間管理機構に農地を貸し付けるだけで、農業年金がもらえるんです。

投稿日:2017.02.28

農業者年金は、保険料の一部が国庫補助されており、国民年金に上乗せされる年金で、かなり優遇された制度なので、ぜひもらうべきです。
まず、農業に従事している父親が65歳に到達した段階で、誰でも農業者老齢年金がもらえるようになります。次に、60歳までの保険料納付済期間が20年以上であれば、子供に農業を事業承継することで、特別付加年金が上乗せされます。(平成13年までに加入した旧農業者年金は、要件が違うので注意してください)さらに、父親が80歳前に亡くなった場合には、死亡一時金が遺族に支払われるのです。この3つの年金を合わせて、農業者年金と呼びます。
特別付加年金をもらうための事業承継とは、父親が子供に対して畜舎などの農業用施設も含めて権利移転等を行い、農業経営から引退することを意味します。ただ、子供の事業専従者、または子供が設立した農業法人の従業員として働くことは問題ありません。

ここで、事業承継するときに、農地をどのように渡すかで悩む方がいます。
子供に使用貸借で、地代をゼロにして貸してもよいですし、譲渡しても構いません。
ただ、使用貸借の場合、相続人が1人であればよいですが、子供が複数いると争う可能性があります。特に農業に従事していない子供がいる場合には、お勧めできません。一方、譲渡するとなると、子供に資金力がなければいけませんし、譲渡したときに売却益が発生して、父親が所得税を支払うことになります。
そこで別の方法として、父親が子供に、農地を生前贈与してしまうのです。
贈与すれば、生前に農地の名義が子供に変わるため、将来の子供同士の争いは防げます。また、贈与であれば、子供に資金力は必要ありません。
このとき、あなたは「多額の贈与税がかかるのでは?」と心配になるかもしれません。
実は、一定の要件を満たすと、贈与税を納税猶予してくれる制度があるのです。
つまり、子供に農地を贈与しても、贈与税がゼロになるということです。
そして、父親または子供が亡くなった段階で、猶予されていた贈与税が免除されます。

納税猶予の制度を使うためには、父親が下記の要件を満たす子供に、農地の3分の2以上を贈与することが条件となります。


① 子供が贈与者の推定相続人であること
② 農地を贈与された日で、子供の年齢が18歳以上であること
③ 農地を贈与された日までに、子供が3年以上農業に従事していたこと
④ 農地を贈与した日後、速やかに農業を行うこと
⑤ 認定農業者等であること


このうち、⑤については、子供が5年間の事業計画書さえ作成できれば、問題なく認定農業者になれるはずです。ということで、要件を満たすのは難しくありません。
「贈与税がゼロならば、贈与しよう」と、あなたも考えるはずです。

ところが、贈与した時点は良いのですが、そのあと、もう一つの要件があります。
それは、事業承継された子供が納税猶予を受けてから20年間は農業を続けることが必要となるのです。もし農地を売却したり、他人に貸し付けたり、耕作の放棄があった場合には、猶予されていた贈与税の全部と利子税を一括で支払うことになることです。
「20年先までは、予測できないよ」という子供が多いでしょう。
そこで、農地を農地中間管理機構へ貸し付けるのです。その場合には、20年経つ前であっても、贈与税の納税猶予が打ち切られません。

実務的に、農地中間管理機構が、農地の地主の意見を無視することありません。
そこで、子供が農地所有適格法人を設立して、農地中間管理機構を通じて農地を借りて、農業を行えばよいのです。将来、子供が農業を廃業せざる得ない事情が発生したとしても、親戚や友人に農地所有適格法人を運営してもらえば、納税猶予が打ち切られることはなくなります。

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