「農地所有適格法人を作る理由.jp」では、農地所有適格法人(旧:農業生産法人)の新規参入・設立のメリット、資金調達、補助金・助成金の申請、法人化した後の相続・譲渡、節税など、農業ビジネスの仕組みをわかりやすく解説しています。

農地所有適格法人(旧:農業生産法人)設立コンサルティング | 日本中央税理士法人 Tel. 03-3539-3047 担当:青木

農業最前線ニュース

農地所有適格法人(旧:農業生産法人)を設立すれば、当分の間は、消費税を支払わなくてすみます。

投稿日:2016.12.28

個人事業主で農業を行っていても、農業法人で農業を行っていても、売上が1000万円を超えると消費税を納める必要があります。
逆に、売上が1000万円以下ならば、消費税を納める義務はありません。
ただ、兼業でなければ、ほとんどの農業者が消費税を納めていると予想されます。
1000万円は利益ではなく、売上で判定するためです。

この個人事業主が、農業法人を設立すると、個人と法人で消費税の基準となる売上は通算されません。
そして、農業法人に消費税を納める義務がなかったとしても、農作物に消費税を乗せて売っても構いません。
つまり、お客さまから受け取った消費税はもらえることになるのです。
ただ個人事業主から農業法人に変わったとしても、結果的には農作物の売上は1000万円を超えるはずです。
あなたは、「それならば、結果はおなじじゃないか」と思いましたか?

でも新規で農業法人を設立した場合には、設立日と決算日の間に、農作物の収穫時期が重なるか分からず、設立1期目の売上が1000万円を超えるのか、予想がつきません。
そこで税法では、資本金が1千万円未満の農業法人は、1期目の消費税を免除しています。
つまり、個人事業主として、今までずっと消費税を納めている場合でも、農業法人を設立して農作物を販売するようになれば、1期目の消費税を納めなくてよくなるのです。
では、設立2期目はどうなるのでしょうか?
設立2期目に消費税を納めるかどうかは、1期目の最初の6ヶ月間の売上と給料を集計して、判定します。

6ヶ月間で集計された売上と支払った給料が、どちらも1000万円を超えた農業法人は、2期目から消費税を納めることになります。
このとき、売上は売掛金も集計しますが、給料は支払った金額だけを集計すればよいことになります。
また、「どちらも、1000万円超」なので、売上だけ、または給料だけ集計して、1000万円を超えていなければ、2期目は消費税を納める義務から免除されます。
ただこのとき、注意が必要なことは、売上だけ1000万円を超えた場合、給料だけ1000万円を超えた場合でも、2期目に消費税を納めることを選択してよいことになっているのです。
農業法人の場合、2期目に大型の農耕設備やトラクターなどの車両を買わないかぎり、選択するメリットはありません。
そのため、片方だけ集計して、1000万円を超えたと判断して、間違って申請しないようにしましょう。

設立1期目の4つのパターン
① 6ヶ月間の売上 1000万円超  6ヶ月間の給料 1000万円超  設立2期目に消費税を納める
② 6ヶ月間の売上 1000万円以下 6ヶ月間の給料 1000万円超  設立2期目の消費税を納めなくもてよい
③ 6ヶ月間の売上 1000万円超  6ヶ月間の給料 1000万円以下 設立2期目の消費税を納めなくもてよい
④ 6ヶ月間の売上 1000万円以下 6ヶ月間の給料 1000万円以下 設立2期目の消費税を納めない

パターンは①から④までありますが、給料は実際に支払った金額で、かつ所得税がかかっている金額を合計して判定します。
つまり、未払いの給料や通勤手当は省いて集計するのです。
農業法人の給料の支払い方が、月末締めの翌10日払いになっていれば、6ヶ月目の給料は月末で未払いとなっていますので、この判定から除くことになります。
一方で、給料には役員報酬が含まれますし、パートやアルバイトの給料も含まれるのです。
ただ結果的には、ほとんどの農業法人がそれほど多くの従業員やパートを雇うはずもなく、役員報酬が6ヶ月で1000万円超となることも少なく、③のパターンに該当し、2期目に消費税を納めることはないと予想されます。
そこで、農業法人を設立したら、1期目はまるまる1年間となるように決算日を決めれば、最大で2年間(24ヶ月)の消費税が免除されることになります。

それでも、農業法人の売上が高く、かつ従業員を雇っていることで、給料の支払いもあり、最初の6ヶ月間が、パターン①となることもあるかもしれません。
その場合には、2期目から消費税を納める義務が発生すると思うかもしれません。
ところが、もともと消費税法では、農業法人が6ヶ月間の売上と給料を集計する時間として、2か月間が必要だと考えています。
そのため、設立1期目を7ヶ月以下としておけば、売上と給料が集計する時間がないということで、判定せずに、自動的に2期目の消費税を納めなくてよくなるのです。
農業法人の1期目の売上が予測できない場合、最初は1年間で決算日を設定しておいて、あとから、決算日を変更して7ヶ月間としても、問題ありません。
これで、最低でも1年7ヶ月は消費税を納める必要がなくなります。

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