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農地所有適格法人(旧:農業生産法人)の役員の給料を下げて、生命保険に加入すれば、得をする

投稿日:2016.09.08

個人の農業事業者が、生命保険に加入して、その生命保険料がどれほど高額であっても、年間最大で12万円の所得控除(住民税は年間最大7万円)となるだけです。
一方、農地所有適格法人(旧:農業生産法人)(農地所有適格法人)が生命保険に加入した場合には、その生命保険料は、全部が経費なるものや2分の1までが経費なるものなど、種類によって変わりますが、金額に上限がありません。
ここで、「掛け捨ての生命保険だけが、経費になるのでは?」と考える人もいます。ところが、将来、解約返戻金が戻ってくる生命保険でも、問題なく、農地所有適格法人(旧:農業生産法人)の経費になるのです。
実は、これを使うと、農地所有適格法人(旧:農業生産法人)の資金繰りを改善することができます。

例えば、農地所有適格法人(旧:農業生産法人)から役員が月額60万円、年額で720万円の給料をもらっていたとします。すると、所得税等や社会保険料の合計が約170万円となり、手取りは550万円しかありません。(住む地域によって、住民税や社会保険料が少し違ってはきます)
そこで、役員の月額の給料を40万円に下げて、全額が経費になる生命保険に年間240万円分加入します。給料の合計と生命保険料の合計は、先ほどと同じ合計年額720万円です。このとき、役員の所得税等や社会保険料の合計は約100万円となり、手取りは380万円になります。

これだけでは、役員の手取りが減っただけだと考える人もいるでしょう。
ところが、支払った生命保険料は、生命保険会社に貯まっていて、いつでも解約することで、農地所有適格法人(旧:農業生産法人)が取り戻すことができるのです。もちろん、解約返戻金が戻ってきたときには、全額が利益になります。
あなたは、「その利益に法人税がかかるならば、生命保険料を経費にしていた意味がないのでは?」と思うかもしれません。
でも、法人税がかかるのは、農地所有適格法人(旧:農業生産法人)が解約返戻金を除いて、黒字の場合です。
いつも農地所有適格法人(旧:農業生産法人)が黒字になるわけではありません。天候が不順で赤字になることもありますし、農業機械やビニールハウスを廃棄することもあります。そのときには、大きな損失が発生するはずです。農地所有適格法人(旧:農業生産法人)にお金がなければ、役員が手持ちの貯金から貸し付けるしかありません。でもそのお金は、所得税等や社会保険料を支払った残りのお金なので、かなり資金効率は悪いのです。
もし農地所有適格法人(旧:農業生産法人)が生命保険に加入していたならば、赤字に解約返戻金の利益をぶつけることができます。
先ほど、毎年240万円の生命保険料を支払っていた農地所有適格法人(旧:農業生産法人)が、加入から5年間が経っていれば、1200万円が解約返戻金として貯まっているのです。しかも、実際に不良の補てんや廃棄したあとの新規購入でお金が必要となるのです。そこで、法人税を支払わないお金が使えます。
さらに、農地所有適格法人(旧:農業生産法人)が生命保険に加入することで、役員が死傷した場合の保障も付いていることになります。

ただ、生命保険に加入するときには、いくつか注意点があります。
1つ目は、解約返戻金のピーク期間が長くなるものを選ぶことです。
将来、どの時点で赤字になるかは、農業機械の入れ替え以外は、予想が付きません。
そのため、できるだけ、解約する期間に時間的な余裕がある生命保険にすべきです。

2つ目は、1種類の生命保険に加入しないことです。
何本かに分けること、そして、種類も変えた方がよいでしょう。
というのも、すべてを同時に解約するのではなく、解約返戻金のピークやその金額を変えておくことで、1つずつ選択できるからです。

3つ目は、無理して加入しないことです。
生命保険は、毎年、生命保険料を支払う必要があります。
「そんなの当然だ」と思うかもしれませんが、節税できるからと目一杯、入ってしまう農地所有適格法人(旧:農業生産法人)もあります。確かに、解約返戻金を担保にお金を借りることもできますが、それでは、困った時の資金繰りに回すことができなくなってしまいます。
あとで、生命保険に追加で加入することもできるのですから、「ちょっと足りないかな?」ぐらいが、丁度よいのです。

4つ目は、被保険者は、若い人にすることです。
被保険者は、農地所有適格法人(旧:農業生産法人)の役員が最適です。
その役員の中でも、年齢が若い人が被保険者になる方が、解約返戻金の戻りは良くなります。そのため、父親ではなく、子供が被保険者となるべきです。ただ、子供が農地所有適格法人(旧:農業生産法人)の仕事に関わっていない場合には、被保険者にはなりません。

上記のような注意点があったとしても、農地所有適格法人(旧:農業生産法人)は、毎年、安定的な売上と利益が発生するので、生命保険に加入する業種としては、ぴったりです。
生命保険を活用すれば、単純に、役員が死傷した時の保障を得るだけではなく、農地所有適格法人(旧:農業生産法人)の資金効率を改善できるでしょう。
ぜひ、一度、生命保険の設計書を作って、検討してみるべきです。

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