「農地所有適格法人を作る理由.jp」では、農地所有適格法人(旧:農業生産法人)の新規参入・設立のメリット、資金調達、補助金・助成金の申請、法人化した後の相続・譲渡、節税など、農業ビジネスの仕組みをわかりやすく解説しています。

農地所有適格法人(旧:農業生産法人)設立コンサルティング | 日本中央税理士法人 Tel. 03-3539-3047 担当:青木

農業最前線ニュース

農地に対する規制が、今後、改善されることを期待します

投稿日:2015.06.26

小泉政権時代に、規制緩和という掛け声によって、いろいろな法律が改正されていきました。
小泉首相といえば、郵政民営化が一番、有名ですが、それ以外の改革もたくさん、手がけたのです。
それにより、今までにない新しい事業が生まれたり、新しいアイデアを持った異業種が参入しやすくなりました。
一方では、競争が激しくなったという批判もあります。
それでも、私は、規制緩和に賛成です。
競争に巻き込まれてしまった人たちには、確かに、「なぜ、我々の業界が・・・」と思う気持ちもわかります。
でも結果的に、競争によって、その産業自体の底力が強くなり、活性化され、市場自体が拡大することで、みんながよい方向に進めると思うからです。

この小泉政権は解散してしまうのですが、それが少し予定よりも早かったことで、2つの分野の規制緩和を行われませんでした。
それが、農業改革と医療改革です。
農業も、医療法人も、株式会社が自由に参入できるという規制緩和でしたが、これは行われずに、第3次小泉政権は、2006年に終わりました。
そのあと、2009年に、株式会社が、農地を借りれるという農地法改正だけがされたのです。

現在、小売業から、スーパー、食品メーカー、鉄道会社まで、1500社以上が農業に参入しています。
これらの会社は、潤沢な資金力と人材を持ち、農業を活性化させる原動力になると考えます。
ところが、上記の改革が行われなかったことで、未だに、農地を所有することができません。

例えば、ある会社は、7000平方メートルの農地に、パプリカのプラスチックハウスを5億円をかけて建てました。
半分は、補助金を使い、残りの一部は、銀行からお金を借りて、自己資金としては、1億円程度を出資しています。
ただ、この農地は、10年間の借上げで、しかも地権者も1人ではありません。
10年後の更新時に、地権者たちから、農地を返還して欲しいと言われてしまうと、この5億円のプラスチックハウスを取り壊さなければいけない可能性があるのです。
農作物というのは、当然ですが、プラスチックハウスを建てて、すぐに、収穫できるものではありません。
実際に、農地を借りてから、現在の収穫量に達するまで、5年間もかかっているのです。
しかも、まだパプリカの収穫量が最大限になっているわけではなく、採算は取れておらず、赤字です。
プラスチックハウス内の温度、湿度の調整、働いてもらう農家の意識改革も含めて、これから何年間もかけてやって、始めて黒字化できるのです。
10年経って、やっと採算が取れる農業を作り出した途端、農地を返還することになったら・・・という不安から、農業への参入を躊躇している株式会社が、たくさんあります。

農林水産省は、「農地所有適格法人(旧:農業生産法人)を作って、会社が出資すれば、間接所有できる仕組みがある」と言いますが、株式会社として、農地所有適格法人(旧:農業生産法人)に出資できる限度は、原則25%と決まっています。
あくまで、経営の主導権は、75%を所有している農家の人たちなのです。
もちろん、出資した株式会社の社員が、現地に出向して、株主になっていることも多いのですが、それでも個人で所有しているので、不安定な経営基盤だと言えます。

このことから、「農業を5年間続けていれば、農地所有適格法人(旧:農業生産法人)に、株式会社が100%の出資ができる」という改革案が発表されました。
ところが、農協から強い反対を受け、「50%超に出資比率を引き上げる」という案は、2019年に再検討することになったのです。

そもそも、借りられる農地自体も少なく、それを受けて、2014年に「農地バンク(農地中間管理機構)」が発足しました。
2014年9月末時点で、全国の3万の生産者が23万ヘクタールを借りたいと希望して、500社の会社が1万ヘクタールを借りたいと希望しましたが、実際にはそれから4ヶ月後の2014年8月末時点で、552ヘクタールという実績です。
今後は、増えていくと予想はされますが、希望者全員に、農地を貸し出すことはできないでしょう。

実際に、耕作放棄地であるにも関わらず、現在は、農地と主張されてしまうと、固定資産税も、相続税の評価も安くなります。
この2つの税制改正が行われて、少しでも、農地を貸さないと、税金が支払えないという状況になれば、少しずつ変わっていくと思うのです。

規制緩和による競争を恐れていると、農業という市場が拡大していかないのではと感じます。
私としては、もっとお金と人材が、農業に流れ込むことで、市場が拡大し、すでに農業に従事している人も、これから農業に参入する会社も、みんなにとってメリットがある農業改革を望みます。

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